2020年03月25日
善管注意義務は多くの人に発生している!意味と違反行為について解説

善管注意義務とは?民法と用語を知ろう!
善管注意義務の「善管」とは、「善良な管理者」の略です。善良な管理者に該当する人は、一般的・客観的に期待される「注意義務」を負っています。これを「善管注意義務」といい、守らなくてはならない重要な義務です。しかし、いつ・だれに対して善管注意義務が発生するのでしょうか。そこでまずは、善管注意義務が発生する場面について解説していきます。
善管注意義務違反となる場合とは
たとえば、美術品の販売をおこなっているAさんがいるとします。Aさんが売っている美術品を、Bさんが購入することが決まり、後日車で取りにくることとなりました。 AさんはBさんが美術品を取りにくるまでの間、購入したときと同じ状態に保つよう管理する義務が発生します。これがAさんが負う「善管注意義務」です。Bさんに引き渡すまでの間に美術品を傷をつけたり、壊したときは「善管注意義務違反」にあたります。そのため違反行為をしたAさんは、Bさんから損害賠償を請求される場合があります。
ものを売る人だけでなく、専門家など特筆した能力やスキルを売る業務につく人も善管注意義務を負っています。この場合、一般的・客観的に期待される業務をおこなわず、会社・企業に損害を与えると善管注意義務違反とされ、損賠賠償責任も問われることとなるでしょう。
義務をおこたっても軽い注意で済むこともある
ものの管理を無報酬で引き受けた場合には、善管注意義務ではなく、「自己の財産におけると同一の注意をなす義務」が発生しています。これは善管注意義務と比べて軽い義務ですので、管理中に軽い不注意があったとしても大きな罰則はありません。ただし、破損による損失が大きく、重大な不注意をしたとされたときには管理者に損害賠償責任が問われる場合があります。
物件を借りる人は「善管注意義務」を負うこととなる

部屋の「借主側」が負う善管注意義務とは
賃貸物件を契約したとき、借主は「善良なる管理者」となります。そして、貸主に物件を引き渡すまでの間、善良なる管理者として家の管理をおこなわなくてはなりません。これが借主が負う善管注意義務です。もしそれができなかったときには、善管注意義務違反をしたということになります。契約した物件とはいえ、どのような使いかたをしてもかまわないというものではありません。契約期間中は大事に使いましょうという意味で、借主側に善管注意義務が発生しているのです。
善管注意義務の違反となる行為とは
借りている家の窓ガラスが割れたとき、自分の不注意が原因である場合は善管注意義務の違反となります。ただし、台風や地震などが原因である場合は、すみやかにそのことを物件の管理会社やオーナーに報告すると善管注意義務違反とはなりません。時間が経過したあとの報告では、善良なる管理者としてベストを尽くしたとはいいにくくなります。そのため、窓の修理代を支払ってもらえない場合がありますので、報告はなるべくはやくおこなってください。
取締役は会社に対して「善管注意義務」がある

取締役は善良な管理者として注意をもって、会社から委任されている業務をこなさなくてはなりません。これが、会社に対して取締役が負う善管注意義務違反です。
損害賠償の責任が問われるケース
善管注意義務を違反し、会社に損害を与えた場合、損害賠償の責任が問われます。不適切な会計をしているとわかっていたのに、改善や指示、報告をしなかったなど取締役としての務めをおこたると善管注意義務違反と見なされます。取締役として会社のために行動しているのなら、失敗という結果になったとしても、善管注意義務違反としてただちに処分されるというわけではありません。しかし、その行動をとった理由や根拠がなければ善管注意義務違反と見なされるケースがあります。
まとめ
善管注意義務は、ものを売る人、専門的なスキルを使って仕事をする人にとって重要な注意義務です。しかし、不動産においては借主が善管注意義務を負っており、違反をすれば賠償責任を負わなくてはなりません。善管注意義務はとても重要な義務ですが、「あなたに善管注意義務が発生しました」とわかりやすく連絡されるということは少ないです。知らないうちに注意義務を負っているかもしれません。違反と見なされるまえに、自分が負っている責任や注意義務を再確認してみましょう。
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