海外の空き家率が日本より低いワケ|外国と比較した日本の空き家問題

みなさんは日本の空き家事情が深刻になりつつある状態をご存知でしょうか。実は日本の空き家率は海外に比べてとても高く、年々増加していく傾向がみられます。日本の空き家問題がすすんでいる背景には、日本人の住宅に関する考え方や時代の流れが関係しています。
空き家は放置してしまいますと、老朽化による倒壊や周りへの被害をもたらすトラブルの元となってしまいます。売却や賃貸、管理サービスなど解決策はありますので、使わなくなった空き家の管理について、今一度考えてみましょう。
目次
▼日本と海外、空き家率を比較してみよう
日本の人口は年々減少していますが、人口が減っているからと言って、住宅が減るわけではありません。空き家を利用しないのは、結婚をせず独身でいる人の増加や、核家族が増えていることも理由といえます。今は世帯数が増えていますが、やがて減っていきさらに空き家は増加するかもしれません。
総務省統計局は5年毎に住宅・土地統計調査を行っております。2013年の時点では、全国の在宅数が6063万1,000戸になり、2008年と比べると304万5,000戸、5.3%増加しています。一方空き家は819万6,000戸あり、5年で62万8,000戸、8.3%増加しています。
総住宅数に対する空き家率は5年間で13.1%から13.5%と確実に増えており、過去最高を記録しています。
一方、海外の空き家率はどうでしょうか。日本が13.5%に比べ、アメリカ……約11%、イギリス……約2.5%、ドイツ……約1%、シンガポール……約5%と、かなり低いです。
ではなぜ海外の空き家率が低いのでしょうか。それには日本と海外の空き家に対する価値の考え方の違いによるものが関係しています。
▼なぜ日本は空き家大国になったの?増え続ける理由とは

日本は高度経済成長期に伴い、住宅をとにかくたくさん建てる傾向がありました。しかしその反面、耐震・耐久性の面などで物件の質が落ち、長持ちする住宅を作りませんでした。今は落ち着き、人々は質を求めるようになったため、中古住宅を利用したいと考える人達が減少していったと考えられます。よって、日本の空き家は海外に比べて多いのです。
中古住宅は人気がない
日本人には、誰も住んだことのない新しい家に住みたいという考えが強く、まだ住むことが可能だったとしても、新しい家よりあまり価値を感じない傾向があります。日本の住宅の耐久年数は26~30年と言われており、海外に比べると30年遅れているそうです。その理由には、現在の家族のライフスタイルに合わなくなってしまったことや、中古住宅の性能の低さが原因と考えられます。
少子高齢化にすすんでいる
みなさんもご存知の通り、現在日本は少子高齢化社会です。子供が少なく、高齢な方が増えますと、長年住んでいた住宅から介護施設への入所し、空き家が増えてしまいます。また、高齢の世帯主が死去したことにより、住宅を相続するも、新居にいるため空き家となってしまうこともあります。こうした高齢な方が増えている現状も、空き家が増え続けてしまう原因の一つと考えられます。
固定資産税が安くなる
固定資産税は土地に建物が建っているだけで、更地の場合より安くなります。そのため、空き家を残したままにする人が多いです。しかし、2014年に「空き家対策特別措置法」が成立され、各市町村が倒壊の危険がある特定の空き家に対して撤去・修繕などを指導し、従わない場合は最悪強制撤去されてしまいます。
▼海外では空き家対策がされている?空き家が少ないワケ
海外では、売ることを考えて住宅を購入する傾向があり、日本のような新しい家に執着する考えがないため、できるだけ長持ちする家を建てたいという気持ちが強いです。海外では、フリッパービジネスというものがあり、業者が中古住宅を買い付け、リフォーム後に物件を買主に提供するといったシステムにより空き家を有効活用しています。
他にもシェアハウスやドミトリーといった、1つの部屋に複数の人を受け入れる宿泊施設にするなどして、空き家は海外で多く使われています。
▼空き家が増えるとどんな問題が起きるのか
日本の空き家は、海外に比べて誰も住まない状態が長く続きますので、家の状態がどんどん悪くなっていきます。放置しますと、周りへの被害や治安の悪化に繋がりますので、早めの対処が必要です。
治安が悪化する
空き家の管理をしっかりとしていないと、家具や金目になるものは泥棒の標的となります。人の気配がないと空き巣犯は侵入しやすくなり、不審者による建物のいたずらや不審火の原因となり、大変危険です。
景観が悪くなる
空き家をそのままにしておきますと、庭の雑草が伸び、建物の老朽化がすすみます。また、害虫や獣害の繁殖にも繋がり、悪化していく一方です。
倒壊の恐れがある
使用していない家はどんどん老朽化していきます。家を換気せずに閉じ切った状態にしていますと、やがて湿気により木材は腐っていき、台風や地震などに耐え切れなくなっていくため、倒壊してしまう危険性が高まります。倒壊してしまった際に他人に損害を与えてしまうと、建物の所有者である管理責任不足により、賠償責任を負ってしまうこともあるでしょう。
▼空き家を所有していたら…これから考える対策術

海外では空き家を売ることを考えて購入することが多いため、日本のような空き家の放置が問題になることがありませんが、もし「空き家を所有しているけどどう活用したら分からない」とお悩みでしたら、いくつか空き家の対策をご紹介いたしますので、一度ゆっくり考えてみてください。
売却する
空き家を使う予定がないのでしたら、売却してしまいましょう。売却先を見つけるのには苦労するかもしれませんが、買い手が見つかれば収入が一気に入ります。
空き家バンクに登録する
売却や賃貸に出すには、売り手や借り手を探す必要があります。空き家バンクは自治体や自治体から委託を受けた団体で運営されており、まず空き家の所有者が自治体に空き家を登録し、利用希望者は自治体に利用者登録を行います。自治体は登録した利用希望者に空き家を紹介するといったマッチングを行うので、自分で空き家の利用希望者を探すよりも簡単でしょう。
賃貸に出す
売却していけど買い手が見つからない場合は、賃貸にしてみるのもいいでしょう。空き家の物件を賃貸物件にするためにはリフォームや修繕が必要になり、管理もする必要があるため、手間はかかりますが、定期的な収入を得ることができます。
管理サービスを利用する
空き家を放置したままにしてしまいますと、老朽化がすすんだり、不審者の侵入や害虫などによるご近所トラブルに繋がってしまいます。「特定空き家」認定をされてしまいますと、多くの税金を払わないといけないため、定期的なメンテナンスをしなければいけません。しかし、ご自身で空き家を掃除したり、異常がないか調べるには苦労されるかと思います。
そんな時は管理サービスを利用するのもいいかもしれません。プロによる定期的な点検や清掃により空き家を綺麗な上状態に保つことができます。
▼まとめ
日本の空き家は海外に比べて圧倒的に多いですが、その理由には少子高齢化の問題や住宅自体の価値の感じ方、住宅性能など、さまざまな要因があることが分かりました。このまま空き家が増加していきますと、周りに住む方への被害や治安の悪化に繋がってしまう上に、活用が難しくなっていきます。
空き家を抱えている方は、早めに対処する必要があるでしょう。売却や賃貸をする場合も、売り手や買い手を見つけるまでは空き家を定期的に綺麗な状態を維持しなければいけません。空き家の所有者には管理義務がありますが、綺麗な状態を保つことが難しい場合は、プロによる管理サービスを利用するのをオススメします。