空き家の雨漏りを確認して特定空き家を回避しよう!

「親から一軒家を相続したけれど、古くて不便な場所にあるから全く住んでいない……」そんな方は、この日本に多くいらっしゃるようです。せっかく相続した住宅と土地が、そのままほったらかしになっているなんて、もったいないことですよね。
しかし固定資産税が高くなることを心配され、解体をしないでそのままにしている方は多く、社会問題にまでなっています。それが証拠に、全国に同じような状態の空き家が存在しているのです。空き家が放置されることによって、周辺地域にも良くない影響を及ぼすことも指摘されています。
家にとって、人が住むこと自体がメンテナンスとなります。廃屋状態のまま放置すると雨漏りのリスクを高め、劣化を進めることになってしまいます。空き家を修復して賃貸に出すにしても、雨漏りが起こるようでは賃貸物件としての価値がいちじるしく下がってしまいます。
今回は空き家の雨漏りに焦点を定め、その原因や対策についてお伝えしていきます。空き家の雨漏りが気になっていらっしゃる方は、ぜひこの記事をご参考にしていただけたらと幸いです。
目次
空き家の雨漏りはなぜ起きる?原因は主に2つ
空き家のまま放っておくと、なぜ雨漏りが起きるのでしょうか?空き家で雨漏りが起きる原因には、主に2つの理由があります。原因を知って、雨漏りの対策を立てましょう。
経年劣化
雨漏りが起こるのは、建物の経年劣化が主な原因です。建物の宿命とも言えますが、年月を重ねるとどうしても素材が劣化していきます。
長い間、大雨や地震などの自然災害にさらされてきた建物では、瓦屋根にズレが生じたり外壁にすき間ができたりします。そのようなところから雨水が入り込むことがあるのです。
施工不良
起こってはならないことではありますが、業者による施工不良も実際に起こっています。こちらも、雨漏りの原因となります。
しかし施工不良による雨漏りは、一見しただけではなかなか分かりづらいのが現状です。施工不良での雨漏りは、プロでもなかなか原因がわからないことがあるので注意が必要となります。
誰も住んでいないからこそ気を付けたい!雨漏り放置によるトラブル内容

屋根瓦のズレなどによって雨水が家の中に入ると、木造なら天井が腐ってきます。ひどくなると天井板まで落ちてきて、天井裏が丸見えになってしまうことも。
天井が腐った後は、壁も腐っていきます。最後は床も腐ってしまい、建物自体がボロボロになるのです。このような事態になると、構造躯体が通常の機能を果たさなくなります。そのため、地震の際に倒壊する恐れもあります。
雨漏りで何と言ってもやっかいなのは、構造躯体にダメージを与えることです。木造の柱や梁は、雨漏りにより水分を多く含むと弱っていきます。また湿気を含んだ木造の建物は、シロアリの被害に侵される可能性が高くなります。
鉄骨造でもサビが生じるというリスクがあります。どちらにしろ、建物にとって過剰な水分は命取り。構造躯体がやられると、耐震性も低くなってしまいます。
もし雨漏りを発見したら…どうしたらいい?
あなたの所有する空き家に、もし雨漏りが起こっていたら……。万が一そんなことが起こったら、どうしたらよいのでしょうか。
プロに原因調査をしてもらおう
まず初めにやるべきなのは、プロに雨漏りの原因を調査してもらうことです。雨漏りは、必ずしもその箇所の付近に原因があるとも限らないもの。そのため雨漏りの原因特定は意外と難しいので、きちんとした専門家に依頼する必要があります。
おおよその費用はどれくらい?
専門家に調査を依頼すると、実際に雨が降ったらどうなるかといった散水調査や、赤外線サーモグラフィーを使った調査などを行ってくれます。屋根に登る作業には足場が必要になるので、足場代や書類作成にも費用がかかるでしょう。
雨漏り調査は全体として、数十万円かかることが一般的です。原因が特定されないと、やみくもに修復工事を行うことになり、再発をまねく可能性があります。必ず原因を特定した後で、問題の箇所の修復工事を行うことが大切です。
特定空き家にならないように!空き家管理をしているのなら雨漏り確認を

「特定空き家」という言葉を知っていますか?空き家の雨漏りを放置していると、特定空き家になりかねません。あまり聞きなれない言葉ですが、特定空き家とは何でしょうか。この章では、特定空き家についてお伝えしていきます。
特定空き家とは?
特定空き家とは、2015年に施工された「空き家対策特別措置法」によって定められた空き家のことです。全国にあまりにも放置されている空き家が増えたため、この法律ができました。具体的には、以下のような状態に当てはまる空き家のことをいいます。
・放置することで倒壊をまねく危険があり、近隣住民の身の安全がおびやかされている
・いわゆるゴミ屋敷。嫌な臭いを放っていたり害虫が発生するなど、周辺に衛生上の悪影響を及ぼす可能性がある
・見た目が良くない落書きなどがあり、近隣の景観を損ねる
このような状態の空き家をそのまま放置しておくことは、衛生面でも安全面でもリスクがあります。空き家の雨漏りを放置していると、そのうちに天井や柱などの劣化を招き、倒壊の危険性が大きくなっていきます。雨漏りをそのままにしておくと、自治体によって特定空き家と認定されるかもしれないのです。
特定空き家と認定されると、固定資産税が現状の6倍もかかってしまいます。また特定空き家に対しては行政が罰金を徴収したり、所有者の代わりに管理を行うことできると法律で定められています。
このような行為を行政代執行といい、その費用の請求は所有者に行くことになります。所有者にとって、雨漏りを放置しておくことは結局デメリットが大きいのです。
自分で雨漏り確認チェックを
ご自分でも雨漏りの確認をしておくことで、空き家の劣化を防ぐことができます。普段から定期的チェックすることが大切です。外側からの確認は、一般の人でもできます。チェックする箇所は以下のようなところです。
・部屋はじめじめしていないか
・雑菌などにより悪臭がしていないか
・押し入れや物置など、湿気がたまりがちな場所にカビが生えていないか
・天井、内壁に雨水によるシミがないか
・壁紙ははがれていないか、きちんと貼られているか
以上のような症状があるなら、どこかから雨漏りしているかもしれません。雨漏りすると、湿気が多くなり、カビなどが発生する原因にもなってしまいます。過度の湿気は建物の劣化を早めることに。晴れた日に点検に入ったら、よく換気をして部屋を乾燥させておきましょう。
また台風の影響で大雨が起こった後などは、天井は壁に雨漏りの跡がないかどうかのチェックがしやすくなります。大雨の際は定期的に雨漏りチェックをして、必要とあらばメンテナンスを行うと良いでしょう。
まとめ
全国で空き家がそのまま放置されていることが、問題となっています。建物というものは、必ず劣化していくもの。誰も住んでいないとなれば、なおさらのことです。
全く放ったらかしでメンテナンスをされていないその空き家、ひょっとしたら雨漏りをし始めているかもしれません。
固定資産税がかかるという理由から、ずっと空き家を放っておいた方も多くいらっしゃることでしょう。しかし法律の施行により、あなたの所有する建物が特定空き家に認定される可能性もあります。そうなれば、今よりずっと多額の固定資産税に苦しむことにもなりかねないのです。
そうなる前に、雨漏りチェックをして必要なメンテナンスを行っておきましょう。せっかく所有している建物ですから、その状態を定期的に確認しておくことが大切です。あなたの所有している建物が、有効に活用されることを願っています。