特定空き家とは何?空き家を放置しておくと「罰則」がある場合も!

空き家に関する対策として近年施行された「空き家対策特別措置法」について、ご存知でしょうか?この法律は今後も増え続ける空き家対策として定められたものですが、いまいちピンとこないかもしれません。
「特定空き家」というものに認定されてしまうと、空き家の前に標識が立つ、市町村からの勧告や命令、強制捜索といったことがおこなわれてしまいます。また、罰金を科せられてしまう場合もあるため、空き家を所持している方にとっては見過ごせない法律です。
今回は特定空き家についてわかりやすくご紹介いたします。また、空き家の活用例もあわせて列挙します。「空き家をどうすればよいかわからない…」このようなお悩みをお抱えでしたら、一読すると解決方法を見いだせるかもしれません。
目次
「空き家対策特別措置法」をわかりやすく説明します
「空き家対策特別措置法」は平成27年5月26日より完全施行されることになりました。その背景には、近年空き家に関する問題が増えてきてしまっているといういきさつがあります。
高齢社会が進む日本では、お年寄りの増加とともに人口の減少が起こっています。自力での生活が困難になった高齢者が施設へ身を預けたり、自身の子供の住まいに移ったり、あるいは亡くなったりすることによって、自宅を手放すケースがあります。このような事情で中古物件が増加しつつあるのです。
さらに、新たに戸建住宅に住もうと考えている人にとって、古い住宅は魅力的に映りにくく、状態・条件のよろしくない物件は売れ残りやすくなります。買い手側の需要も空き家の増加に拍車をかけてしまっているのです。
建物に引き取り手が見つかればよいのですが、個人での建物管理は容易ではありません。そのため、つい建物を放置してしまい、周囲へ悪影響を与えてしまいかねません。この法律が施行される以前は行政側での対処はできず、周囲の住民や地域の環境が悪化してしまう傾向にありました。
また、古くなった建物でも取り壊しがおこなわれない理由として「固定資産税の優遇」が関わってきます。建物があるだけで、更地に比べて税金が6分の1にまで抑えることができます。建物の解体自体に数百万と費用が発生するため、解体されずに放置される空き家が多くありました。
「空き家対策特別措置法」はこのような空き家問題の対策として施行されたのです。
「特別措置法」で何ができるようになったのか?

特別措置法の施行は、自治体にどのような権限が生じるのでしょうか?
●市町村に、空き家へ立ち入り調査の権限が発生
●市町村に、空き家の取り壊しや修繕の助言・指導・勧告・命令ができる権限が発生
従来は、自治体である市町村は、個人の持ち家となっている空き家への対処はおこなえませんでした。しかし、特別措置法が定められたことにより、上記のような権限が発生するようになったのです。
突然の強制対処や処罰はおこなわれませんが、周囲へ悪影響を及ぼしかねない空き家は自治体より猶予期限を決められ、指導が入るようになります。それでも対処をおこなわなかった場合は、勧告、命令という段階を踏みます。
「修繕にお金がかかるから…」「面倒だから」と無視をしてしまうと、特定空き家として指定されてしまうこともあるので、指導を受けたら期限以内に修繕をするように努めましょう。
こんな空き家は特定空き家になるかも!
すべての空き家が特定空き家に認定されるわけではありません。認定を受けた場合、以下のいずれかの条件に当てはまっている可能性があります。
●そのまま放置し続けると倒壊したり、周囲の人の安全をおびやしたりする危険な状態
●周囲の衛生面に影響を与えかねないゴミ、害虫、害獣などがある状態
●ガラスが割れている・ひどい損傷を受けているなど、周囲の景観へ悪影響を与えている状態
●外壁に落書きがある、草木が伸びたなどの理由による通行者の阻害や治安の悪化を招いている状態
これらの状態に当てはまるようであれば、特定空き家として認定されてしまうかもしれません。
また、認定されなかった場合でも、周囲への影響を与えかねない場合は助言を受ける場合があります。絶対に放置はせず、解体や修繕といった対処をおこなう必要が出てくるのです。
「特定空き家」はよくない肩書!罰則がある場合も
特定空き家として認定されてしまうと、さまざまな罰則が発生します。いずれも軽視できないものとなります。
●固定資産税が更地と同額になる
固定資産税は建物が建っているときには優遇されるため、本来であれば6分の1程度を納めればよいです。しかし、特定空き家に認定されてしまうと、優遇措置が受けられず、更地と同額を納めなくてはならなくなります。
●従わなかった場合は「罰金」を科せられる
建物の解体には費用がかかります。けっして安価な金額ではないため、すすんで撤去をおこなう人は少ないです。そのため、撤去をせずに、市町村からの勧告を無視して放置をしてしまうと、無視したことによる罰金を請求されることがあります。
考えられる最悪の展開とは
それでも市町村からの勧告を無視し続けた場合、行政代執行が可能となります。この状態にいたると、市町村側が強制的に空き家の撤去をおこないます。もちろん無償ではありません。解体・撤去にかかった費用はすべて持ち主に請求されてしまいます。
特定空き家に認定されてしまうと、このほかにも特定空き家とわかりやすいように看板を立てられたりと、周囲にも知られてしまう形で周知がおこなわれます。また、そのほかにもニュースやSNS、新聞といった場所で報道されてしまうかもしれません。金銭の負担だけではなく、持ち主に対して “悪いうわさ”という形で周囲に広まってしまうのです。
特定空き家にならないためのコツは?

特定空き家と認定されないためにはどのようなことをおこなえばよいのでしょうか?
空き家の所有者が誰か明確化する
空き家の多くは遺産相続の結果、引き取り手が見つからず放置されたパターンが多いです。放置した建物が特定空き家になって勧告を受ける可能性があります。そのため、所有者が亡くなられたときに、しっかりとした話し合いをおこなって、誰が引き取るのか明確にしておく必要があります。
しかし、このような相続問題はもめてしまい、なかなか決まりにくいことでもあります。場合によっては有識者を招き、第3者の立場から判断してもらうとよいかもしれません。
管理方法は「管理会社」か「自力」でおこなうか選ぶ
空き家の管理方法として、自力でおこなう場合と管理会社に委託する場合の2通りがあります。建物の劣化は人が住んでいない場合だと急速に進み、新築でも1年あれば驚くほど廃墟化します。その原因は室内の湿気や、掃除をおこなっていないことが考えられます。
自力で管理をする場合は月に1,2回ほど空気の入れ替えと清掃、庭のお手入れが必要となります。とても手間がかかってしまいますが、費用は委託するよりも抑えることができます。
管理会社に依頼をした場合は、費用がかかりますが、これらの手間を省くことができます。どちらにするか状況に合わせて選ぶようにしましょう。
空き家の活用方法を知る
・売却する
・貸し出す
・取り壊して更地にする
空き家の活用方法としてこのようなものが考えられます。必要のない空き家を所有してしまったら、まずは売却を考えるかと思いますが、空き家の状態が悪いと買い手がなかなか見つかりません。その場合、格安で貸し出してみるのもひとつの手段といえます。
近年DIYが流行したことによって、自力で自宅を改装したいという方も増えてきています。そういう方に貸し出すのもよいでしょう。ライフラインや建物の構造部分の根本的な補強や修理は貸主が負担しなくてはいけませんが、壁や床といった修繕は必要ありません。貸出賃金を安価に抑える代わりに修繕の手間がほとんどないのが魅力的です。
それでも引き取り手がいない場合、建物を解体するというのも手段といえます。建物がなくなると、かえって高額で土地が売却できるようになるケースもあります。また、駐車場などに整備しなおすといったこともできるでしょう。
まとめ
空き家は放置してしまうと周囲への悪影響をおよぼします。1年放置しただけで新築ですら廃墟同然のありさまになってしまうのです。そのため、「しっかり管理する」、「売却する」、「解体する」など、いずれかの方法で対処をしなくてはいけません。
放置してしまった場合、建物にホコリやごみがたまります。換気もしないので湿度が上がって害虫がはびこり、それを餌にする害虫・害獣が集まってしまいます。また、建物の見た目が悪化し、周囲の草木も伸びてしまうと死角が増えて、不審者が出入りをしやすくなってしまいます。
所有者への処罰も当然あり、とても楽観視できるものではありません。特定空き家として認定をされてしまう前に、対処をおこなうようにしましょう。