2017年10月06日
【空き家ビジネスの現状】拡大の可能性と抱えている課題

少子高齢化や核家族化などが進むことで増えている空き家は、放火や近隣住民への害獣被害など多くの問題を抱えています。将来には、3件に1件は空き家になるとまで言われおり、問題は深刻です。
そんな空き家をうまく活用した空き家ビジネスが考えられ、注目を集めています。 しかしどんなものなのか、ご存じの方はいらっしゃいますか?
空き家ビジネスという言葉は広く広がりましたが、なかなか詳しい内容まで認知がされていないのが現状です。
今回は、そんな空き家ビジネスの概要をその事例とともにご紹介しましょう。
目次
注目を集める空き家ビジネス
空き家は、火災や害獣による影響を及ぼすだけでなく、犯罪に使用され地域の治安も悪化させ景観をも壊します。そんな空き家をどうにか活用できないかというのか空き家ビジネスです。空き家の増加は国や自治体にとっても大きな問題で、空き家対策に力を入れはじめています。
「空き家対策特別措置法」により、売買にかかる登録免許税や不動産取得税を減税したり、リフォーム補助金が自治体から出ることになったりと空き家を活用しやすくなり、よりビジネスの幅を増やしています。
空き家に関する税制の変化
2015年に施行された「空き家対策特別措置法」によって、近隣地域に危険が及ぶ場合など「自治体が定めた特定の空き家」に対して住宅用地の特例が適用されなくなりました。また、所有者が自治体の法令違反があった場合に交付される是正勧告を無視する場合、取り壊し費用を所有者負担にできるようになりました。
減税などの補助制度
今までは空き家の売買にかかる税金が、通常の不動産売買よりも高かったので、空き家が処分できない原因にもなっていました。しかし、登録免許税や不動産取得税を減税する対策を行い、リフォームに対する補助金制度を導入した自治体もあります。
民泊の規制緩和
民間の空き家やマンションの部屋を活用し、7日~10日以上の宿泊などを条件に旅館業法の適用除外とする「民泊」を認めました。厳しい規定に合格する必要がある旅館業法の適応外ということで、家主と宿泊する「家主宿泊型民泊」でなく、「家主不在型民泊」といった民泊管理会社が運営する施設が増えています。
※国家戦力特区に限る(2017年現在)
2040年には40%が空き家!?空き家が増え続ける原因

総務省が2013年に行った調査では、820万戸もの空き家があると発表しています。今後はさらに増えると予想されていて、2040年には、住宅全体の40%以上が空き家になるという考えも出ているそうです。
空き家が急激に増え始めたのは以下のような原因があります。
新築物件の増加
人口の減少が進んでいる日本ですが、新築物件の供給が増えています。現代では核家族化が進んでいるので、家庭ごとに家を建てることが多いです。また、日本人は中古物件よりも新築物件を好む傾向が強いため、中古物件が空き家として残っている状態でも、新築物件の供給が増え続けているようです。
都心への移住
地方に住んでいる方は、便利で職もある都会にどんどん出ていきます。そしてそこに家を建てるため、実家を相続したときに住む人がおらず空き家となるケースが多いです。また、処分を考えたとしても地方ではなかなか買手が見つからないことも多いようです。
固定資産税の問題
家が建っている場合、住宅用地の特例が適用されていますが、更地にした維持費が変わります。特例が適用されなくなれば固定資産税が6倍近くあがることもあるため、簡単に解体できないことが空き家を増やす原因になっているようです。空き家ビジネスの基本的な3形態と活用事例
①貸出しビジネス
築年数の古い物件をリフォームして使い勝手をよくすることで、新しく入居者を募る貸し出しビジネスが盛況です。新築で物件を建てるよりも費用を抑えることができるため、賃貸の家賃設定も抑えられることからリフォーム物件は人気が高く収益性も見込めるビジネスと言えるでしょう。【活用事例】
築年数20年のマンションを丸ごとリフォームして、間取りを2LDKから広いワンルームに変更したことでテナントが入りやすいマンションになった。②買い取り/再販ビジネス
空き家を業者へ買い取ってもらい、リフォーム工事を行って物件の価値を高めます。リフォーム前ではなかなか買い手がつかなかった物件も、リフォーム後では購入の検討対象となることが多くなります。賃貸物件にして収益を継続的に得るよりも、物件を手放したいと考えている方に向いているビジネスです。
【活用事例】
古民家の佇まいを残した物件を、耐震工事やリフォーム工事を行ったことでカフェとして活用することになった。③管理/メンテナンスビジネス
物件の所有者の代わりに、物件の管理代行とメンテナンスを行います。放置して物件が劣化するのを防ぐために定期的に物件を訪れ、風通しや雑草の手入れ、ポストに投函された郵便物を管理するなどの作業を行うことで、空き家の外観を保ちます。管理委託費用は内容やプランにより異なり、所有者がリフォームを検討している期間など物件の状態維持を希望される方に適したビジネスです。
【活用事例】
所有者の住所が所有物件から遠く、手入れが行き届かなかったため外観が荒れて入居希望者が少なかったが、管理を適切に行うことで入居希望者が増えた。空き家ビジネスが抱える課題
物件の質
日本では海外のようにメンテナンスしながら住み続ける文化が根付いていないため、一世代限りの使い捨て物件として利用していることが多いです。築年数が20年を過ぎた物件は価値がなくなるため、家を処分する場合もメンテナンスが行き届いていない「質の悪い物件」となっていることが多く購入する側も慎重になります。
空き家がある場所
空き家の多い場所は、衰退した地域であることが多いです。そういった地域では仕事がない、コミュニティーが充実していないなどの問題が多いので、貸し出しや売却を考えていても相手がなかなか見つからないケースもあります。相続に関するトラブル
空き家を活用した場合、その収入がどのように分配されるのか、活用が始まるまでの維持費を誰が負担するかなど、決めなければならないことがたくさんあります。家族間で話がまとまらなければ、活用も始められません。
今後空き家ビジネスは拡大するのか?

日本は少子高齢化により、人口が減り続けている状態です。その結果として空き家は増加の一途をたどっています。今後空き家ビジネスはどのように拡大していくのでしょうか?
予想される空き家ビジネスの今後の展望を3ポイントに分けて以下にまとめましたので、空き家ビジネスを検討されている方はぜひ参考にして下さい。
【ポイント1】中古住宅の流通は増えている
住宅を購入する際、一昔前では新築で物件を建設することが多かったのですが、ここ30年ほどの間では中古住宅が販売数を伸ばしてきています。新築物件に比べて中古住宅は低価格で購入できることが多く、今後も需要は高くなると考えられます。【ポイント2】民泊など宿泊施設の需要
2020年の東京オリンピックを控え、今日本では宿泊施設が不足していると言われています。民間企業が提供している民泊サービスも人気が高く、一般家庭を宿泊施設として提供するほど宿泊できる物件が必要とされています。
また、日本の趣を残した和風の物件は海外からの旅行者に非常に人気が高いことから、小規模なリノベーションを行って宿泊施設として利用可能になると収益性が見込めるでしょう。
【ポイント3】空き家を資産に変えられる
築年数の古い物件はそのままにしておくと、税金を支払う対象ではあっても収益には繋がらない状態が続いてしまいます。リフォームして物件を貸し出したり、販売したりすることで今までは負担でしかなかった空き家を資産へと変えることができます。高齢化により物件所有者の平均年齢が上がっていることもあり、今後は空き家ビジネスを依頼する方が増えると見込まれます。
まとめ
今後、日本では確実に空き家が増加すると考えられます。税制の問題などから、あえて古い家を取り壊さずに残しているケースも多くありますが、空き家を管理せずに放置することは災害などの大きなトラブルへ発展することにも繋がります。空き家はそのままでは負の資産になってしまいますが、適切な管理やリフォームなど手を加えることでプラスの財産へと変えることができます。
空き家ビジネスに参入している企業は多く、自分で運用しなくても、管理・売却などを代行してもらう方法もあります。
空き家の問題で頭を悩ませている方は、空き家を活かす方法を相談してみましょう。
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