空き家管理士ってどんな資格?気になる仕事内容やなる為にすべき事

年々増え続ける空き家問題に対し、公共機関や民間が強い問題意識を抱き、国まで動き出しました。空き家対策といっても専門知識や技術が必要なことも多く、空き家のプロフェッショナルともいえる“空き家管理士”という資格をもつ人も出てきました。
そこで今回は、空き家管理士をはじめ、空き家対策の専門家にはどのような種類があるのか、どんな違いがあるのかをご紹介します。
空き家管理士とは
一般社団法人が設立した空き家に関する資格の一つで、現在では1級と2級があります。空き家管理士協会は“空き家管理の専門家として空き家管理士を認定するとともに業務に関する各分野の専門知識や法令に関する知識をもった専門家の育成を行うこと”を理念においた協会で、空き家管理士のミッションとして掲げられていることが3つあります。
- ・空き家の管理を通して空き家の可能性に挑戦する
- ・空き家の管理を通して安心を提供する
- ・空き家の管理を通してスムーズな資産継承のお手伝いをする
空き家は負の財産ではなく、適正な管理によって所有者や周辺地域の宝にすることができること。空き家の所有者の安全は周辺住民の安心、地域社会の安心へと繋がること。空き家の管理は個人資産の保護であり、資産の価値の管理でもあることが掲げられています。ネガティブにとらえられていた空き家所有者の方に、わくわくしたサービスを提供するのが目的でもあります。
資格を取って空き家管理士協会に入会すると、空き家管理士と名乗って営業活動することができ、協会名とロゴマークを名刺などで使うことができるので、空き家管理の活動をしようと思っている人にとっては頼もしい資格といえます。
空き家管理士の資格を取得するには
空き家管理士になる場合、まずは1級と2級のどちらを目指すのかを明確にします。空き家管理士1級はプロとして活動していきたい方向けになっています。対して、2級は主に介護事業にかかわっている方に需要があるようです。高齢者が施設に入居する際、住んでいた家が空き家になる場合に活用できます。ただし、2級を取った方が報酬を受けて管理をする場合、2名以上で実務を行う必要があるので注意が必要です。
空き家管理士になるために受ける試験は毎月1回行われており、インターネットを使ったE-ラーニングで勉強をしたうえで試験を受ける形になっています。特に実務経験は必要なく、年齢制限もありません。受講と試験などは通常インターネットを使って行われるため、最低限ネットを使えるパソコン知識は必要となるでしょう。
空き家管理士になるための流れは、以下のようになっています。
- 1.受講申込書兼受験願書をダウンロードし、記入をする
- 2.書類を添えて申し込む
- 3.受験をする (1級・2級とも制限時間60分)
- 4.後日、合否結果が届く。試験合格者には合格認定書も届きます。
空き家管理士協会の会員規約によると「会員は本規約に同意のうえ、当協会所定の審査および手続きにより認定され、当協会への入会を認められた個人を指し“空き家管理士”と称する」と記載されているため、会員に登録することも必須となるようです。また、登録には登録費の納入も必要です。ほかに、実地研修を受けて空き家管理士協会の会員と認められれば空き家管理士と名乗ることができますが、1回の現地研修の受講が必要になります。
空き家管理士の仕事内容

空き家管理士の仕事としては、空き家問題のスペシャリストとして活動することが第一となります。空き家の所有者から依頼を受け、行政および関連機関との調整をする役目を担うことになります。その結果として適正な管理・効果的な空き家の活用・次世代への継承に繋がるように活動しています。
業務は多岐にわたり、現地での打ち合わせ、物件のチェック、報告書の作成などさまざまです。専門的な知識が必要なことはもちろんのこと、コミュニケーションスキルも要求されるでしょう。物件の管理だけでなく不動産の管理を任される立場としてクライアントとの信頼関係を築き円滑な業務を遂行しながら以下のような活動も行います。
- ・消防法や建築基準法などの関係法規の知識を身につけて、的確な対応をする
- ・業務内容やさまざまなケースを空き家管理士協会と共有しながら業務を遂行する
- ・設けられたガイドラインと関連している法令を順守していく
- ・少子高齢化・核家族化などが原因で広がっている空き家問題を撲滅する
- ・空き家管理士の地位向上を目指す
空き家管理に関わるさまざまな資格
空き家管理士という資格のほかにも、空き家相談士や空家空地管理士という資格があることをご存知ですか?似た名前の2つがどう違うのか調べてみました。
■空き家相談士
一般社団法人が設立したもので、空き家の利用・活用・管理・除却に関して必要な知識の普及や調査研究、対策事業を推進しています。空き家を取り巻く知識と高い見識をもって依頼者の相談に乗り、社会に貢献していく資格者のことをいいます。
空き家相談士になるには多様な顧客の相談に答えるために、たくさんの学習が必要となります。平成27年に施行された“空家等対策の推進に関する特別措置法”をはじめ、賃貸借契約や保証契約・不法行為等、重要な強制執行手続きと行政代行手続きを学ばなければなりません。税務や登記、建築についての知識の習得や実際の紛争解決のさまざまな方法を知ることも大切です。
また、今まで個人住宅として住んでいた家が空き家になることが大半で、いきなり“賃貸物件”や“不動産”として貸し出されるのは所有者としては抵抗があるでしょう。そこで所有者の心情に寄り添った提案や相談を受けるなど、サポートする立場が空き家相談士になるので、信頼関係を築く努力もしなければなりません。
■空家空地管理士
平成25年に設立されたわりと新しい資格で、NPO法人が認定している民間資格です。NPO法人空家・空地管理センターの管理エリアに1名必要と定められているものなので、センター内において大切な資格といえます。 空家空地管理士になるには、管理実務や専門家による法律・税制度などに関する研修等を一定期間以上受けて試験に合格する必要があります。
まとめ
空き家を管理するにあたって資格を有することで一定のガイドラインが定められ、顧客満足度にも繋がるようです。今回は3つの資格をご紹介しましたが、この先も空き家問題が大きくなればまた新たに出てくる資格もあるでしょう。2025年には4人に1人が75歳以上の超高齢社会になるといわれている背景がある以上、空き家はどんどん増えていくと思われます。そこで大きな役割をもつことになる空き家管理士をはじめ、各資格を所持しているということは、空き家管理依頼するときの指標としても役立ちます。
各資格所持者がどのようなスキルをもっているか知っておいても損はないでしょう。