法律上の空き家の定義って?「特定空き家」に指定されないための対策

現在空き家の問題は深刻化しています。空き家が増えることで、管理できない空き家が放置されている状態です。管理をしていない空き家は、老朽化による倒壊や害虫、防犯面を考えると大変危険であり、周辺に住む方々にも影響するおそれがあります。
そんな危険な空き家をどうにかするべく、特別措置法が制定されました。空き家に対する目が厳しくなり、所有者は改善を余儀なくされています。
では、どのような家を空き家というのでしょうか。空き家の定義や特定空き家との違い、特定空き家になるとどのような措置を取らなければいけないのかについてお伝えいたします。
目次
特別措置法で定義されている「空き家」とは
近年空き家問題が深刻化しています。しかし、空き家とはどのような状態のことを指すのか、分からない方もいるかと思います。空き家の定義とは何か、空き家がなぜ増加しているのかについて詳しくご説明いたします。
法律上の空き家の定義
空き家は、国土交通省で「1年以上住んでいない」「1年以上使われていない」家と定義しています。
住んでいない、使われていないと判断される基準は、「人の出入りがあるか」「電気・ガス・水道が使用できる状態であるか」「登記記録や住民票の内容」「きちんと管理されているか」などが挙げられます。
空き家はそのまま放置すると、建物自体の劣化による倒壊や、害虫被害、不審者の侵入などトラブルの原因になります。空き家がそのような状態になってしまいますと、「特定空き家」とみなされてしまいます。
各自治体から「特定空き家」の勧告がありますと、固定資産税の特例から外されてしまいますので、最悪の場合増額されてしまうことがあります。そのような事態を防ぐためには、1年以上利用実態がない空き家を放置せず、対策をとりましょう。
空き家問題は年々深刻化しています
空き家は年々深刻化しています。人口が増え続けている一方、総住宅数が増加しているので、これからも空き家はますます増えてしまうでしょう。
空き家のほとんどは一戸建てによるものです。2013年の総務省の「住宅・土地統計調査」によると、820万戸の空き家のうち、36.6%が一戸建てだという結果が出ました。
一戸建ての空き家は2008年から20.0%も増えており、この数字からも一気に増え続けていることが分かるかと思います。
さらに、2015年に相続税が増税されたことをきっかけに、アパート経営での節税が盛んになりました。アパートの建設が増えてしまいますと、ますます一軒家の空き家の需要は少なくなり、多くの空き家が放置されるようになりました。
そんな深刻になりつつある空き家問題の対策として、「特別措置法」が制定されたのです。
特別措置法とは、危険とみなされる場合や衛生上に問題がある空き家を対象に、改善の指導などをおこないます。指導や勧告などを無視してしまいますと、最終的に強制撤去されてしまいます。
要注目!「空き家」と「特定空き家」のボーダーライン

空き家は放置してしまいますと、いずれ特定空き家として判定されてしまうことがあります。
では、どのような家が特定空き家になってしまうのでしょうか。特定空き家の特徴や、特定空き家として判定されてしまうとどのようなことが起きるのかについてお伝えいたします。
「特定空き家」になってしまうのはこんな家
特定空き家は、市区町村の行政が認定します。空き家を所有しておきたいのでしたら、特定空き家にならないようにしたいですよね。
特定空き家と判断されてしまう家の特徴はいくつかあります。
・そのままの状態だと、建物の老朽化により倒壊や保安上危険になってしまう状態
・家を放置することで、害虫や害獣による異臭など衛生上よくない状態
・管理を怠ることで、景観を損なっている状態
・周辺の生活環境に影響を及ぼす恐れのある状態
もし当てはまるようでしたら、特定空き家とみなされ、特別措置法により撤去しなければいけない事態となるかもしれません。
特定空き家に指定されると…
行政から特定空き家に指定されると、どのようなことになってしまうのでしょうか。指定されたからといって、いきなり強制的に撤去されるわけではありません。いくつかの手順を踏み、それでも改善されない場合のみ強制的に撤去されてしまいます。
まず最初に、改善するための「解体・修繕・立木竹の伐採」などの指導をおこないます。改善がされないようだったら、勧告をします。もし勧告をされてしまいますと、固定資産税の特例から外されてしまいます。
この勧告を無視してしまいますと、猶予期限付きの改善命令が下されます。この際に、対象に空き家の所有者の意見を聞いてくれる機会がありますので、改善できない理由があるのでしたら、伝えることができます。
もし猶予期限を過ぎても改善されないようでしたら、強制対処をされてしまいます。改善途中だったとしても、猶予期間中にすべて改善されていることが条件ですので注意が必要です。
強制対処の改善にかかる費用は所有者負担になります。もし負担ができない場合は、市町村が一時的に負担し、かかった費用を所有者に請求します。
最終的に強制対処をされてしまうのでしたら、通知が来た時点で早めに改善した方がいいですよね。最初の時点では、助言や指導によりしっかり教えてくれますので、面倒くさがらずに、改善ポイントを把握して直していきましょう。
「特定空き家」判定されないための対策
特定空き家として判定されないようにするためには、どのような対策が必要になってくるのでしょうか。現実から逃げてしまいますと、改善にかかる費用がどんどん膨れ上がってしまうかもしれません。今回は、3つの対策をお教えしますので、空き家を所有しているのでしたら、一度考えてみてください。
空き家の所有者を把握する
所有者が亡くなられていた場合、まず誰が引き取るのかについて話し合いをしましょう。空き家の定義が分からず、所有者が不明なまま放置されてしまいますと、特定空き家として勧告されてしまうおそれがあります。
定期的にお手入れをする
特定空き家として判断されないよう、お手入れや点検をしましょう。しかし、誰も住んでしない状態ですと、大変な作業になるかもしれません。除草や水道・雨漏りのチェック、防犯の強化など、やらなければいけないことはたくさんあります。何人かで手分けして作業をするのならいいですが、1人でおこなうには作業量が多いかもしれません。
空き家に住んでしまう
一番安全な方法は、誰かが住んでしまうことです。家を新しく買う前に、親の家が将来空き家になることも視野に入れておきましょう。自分の家族のこともあるので、難しいかもしれませんが、誰かが空き家を管理しないといけないと思うと、いっそのこと住んでしまった方がいいかもしれません。
自分での管理が難しいなら業者に任せるのもアリ

空き家の定義に当てはまり、このままだと特定空き家として判定されてしまうという危機感を持ったら、まずはできるところから始めましょう。しかし、空き家を管理するといってもどこを点検したり、お手入れしたいいのか分からない部分がたくさんありますよね。
チェックするような時間がない、何をすればいいのか全く分からない。そんな状態でしたら、業者に任せれば一気に解決できます。
業者は家の老朽化によるトラブルを防ぐために、さまざまな箇所の点検や配達物の整理、換気による湿気対策などをおこないます。自分で管理をするのには限界があると感じましたら、依頼をしましょう。
業者を探すときは、相見積りがおすすめです。他の業者と比べることで、サービス内容や料金など違いがわかり、最適な業者を選ぶことができるでしょう。
まとめ
空き家の定義には、1年以上住んでいない、使われていないような家のことが挙げられました。しかし、空き家はしばらく放置すると、市区町村の行政により特定空き家として判定されてしまうことがあります。
特定空き家になってしまいますと、改善の通知が来るようになります。それらのお知らせを無視し続けてしまいますと、強制対処になり、改善の費用を所有者が負担しなければいけない事態となります。
そうならないためにも、空き家を所有する際は、徹底的に管理しなければいけません。もし自分で管理をするのが難しいようでしたら、業者に依頼をすることもひとつの手段です。
点検だけでなく、家の老朽化を防ぐための対策もしてくれるでしょう。もし依頼をすることになりましたら、他の業者と見積りを比較するのをオススメします。